確かに、翼を除いた姿かたちは白いし丸いしなんとなく似てはいるけれど。

(ブゥ、すごく嬉しそう……)

「やめろ! グレイスに近寄るな!」
「やめろブゥ! 戻ってこい!!」

 グリスノートとラグの声がほぼ同時に上がる。

 それでもブゥはグレイスから離れようとしない。グレイスはというと、そんなブゥの姿を興味深そうにくりくりと頭を回し追いかけている。

 そんな2匹の姿は見ていてとても可愛らしいけれど、グリスノートは許さなかった。

「こいつ、これ以上グレイスに付き纏うなら、」

 その手が腰に提げられた剣に触れるのを見て、私は咄嗟に叫んでいた。

「聴いたことあります! セイレーンの歌声!」