やっと、グリスノートの言わんとしていることが分かった。
 射貫くような視線を受けて冷や汗が滲む。

「そんなグレイスの声を“歌うような綺麗な声”と言ったてめぇらは、セイレーンの歌声を聴いたことがあるってことだよな?」
「ブゥ!?」

 そのとき突然ラグが叫んだ。
 え、と思ったときにはもうその白い身体はラグの頭上を飛んでいて。

「な、なんだこいつは!?」
「ぶぅ~~っ」

 瞬間、私たちを助けるために飛んで行ったのだと思った。
 でもブゥが向かったのはグリスノートではなく、グレイスの方で。

「ぶ、ぶう! ぶぶうっ」

 グレイスの周りをはしゃぐように飛び回るブゥを見て、

「仲間と勘違いしているのではないか? 白い者同士」

セリーンがそう呟くのが聞こえた。