だが今の小さな姿で海賊が怯むわけがない。寧ろそんなラグの態度を面白がるようにグリスノートは笑い出した。
「なんだなんだ、いっちょまえにナイト気取りか? お姉ちゃんは渡さねぇって?」
「姉ちゃんじゃねぇ!」
「じゃあなんなんだよ。ま、いいや。ほら来いよ。大人しくしてりゃ悪いようにはしねぇから」
そうして軽く手招きされてもその場から動けるはずがなかった。
「カノン、行く必要ないからな」
「う、うん」
セリーンがすぐ傍に寄り添ってくれて私は小さく頷く。
でも、このままでは3人とも海に落とされてしまう。ラグも今の状態では術を使えないし、セリーンにも武器が無い。
(私の歌しか……)



