「長に会うつもりだ」
「おさ?」

 私が繰り返すとセリーンは頷いた。

「奴がそう呼んでいた。先代の頭だそうだ」

(先代の……)

 頭にしてはやけに若いとは思ったけれど、もしかしたら代替わりしたばかりなのかもしれない。

 おそらくは同い年くらいのグリスノートと名乗った海賊の顔を思い出す。

 ――海に落ちないように気を付けてくださいね。

 昨夜会ったときはとても優しそうに見えたのに……。

「でもさ、よくセリーンの頼みを聞いてくれたよね。案外いい人達なのかな」

 だったらいいなぁという期待を込めて言うとラグに鼻で笑われてしまった。

「賊にいいも悪いもあるかよ」

 そんなラグに微笑んでからセリーンは続ける。