兄妹並んだ背中を見て小さく息を吐いていると、横からまた舌打ち。
「お前、あの野郎と絶対に二人きりになるなよ」
「え?」
空よりも深い青が睨むように私を見ていた。
「帰るんだろ。元の世界に」
急に、そんなふうに言われてどきりとする。
「――も、勿論!」
そのために今、お嫁さんのふりまでしてここにいるのだ。
するとラグは私から視線をグリスノートへと移した。
「なら、あの野郎には極力近づくな。どうせ、町を離れればふりも終わりだろ」
「う、うん。そうだね」
しっかりと頷く。
そうだ。私は帰るのだ。だからお嫁さんとか、この世界の人を好きになるなんて絶対にありえない。だって、好きになんてなってしまったら――。
(好きになって、しまったら……?)
「よーし、てめぇら出航だー!!」
「アイ、アイ、サーー!!」
そんな大声にハっと我に返る。グリスノートが船首の方へ向かいながら次々仲間へ指示を送っていく。
いくつもの帆が勢いよく張られると、船が桟橋からゆっくりと離れていく。
いよいよ出航の時が来たみたいだ。
「行ってきまーす!」
リディが町の皆に手を振っているのを見て、私もそちらへ足を向ける。
エスノさんや昨日一緒に準備をした小さな女の子、皆がこちらに手を振ってくれていて。
「ありがとうございましたー!」
心の中で嘘をついてごめんなさいと謝りながら私も大きく手を振った。
「お前、あの野郎と絶対に二人きりになるなよ」
「え?」
空よりも深い青が睨むように私を見ていた。
「帰るんだろ。元の世界に」
急に、そんなふうに言われてどきりとする。
「――も、勿論!」
そのために今、お嫁さんのふりまでしてここにいるのだ。
するとラグは私から視線をグリスノートへと移した。
「なら、あの野郎には極力近づくな。どうせ、町を離れればふりも終わりだろ」
「う、うん。そうだね」
しっかりと頷く。
そうだ。私は帰るのだ。だからお嫁さんとか、この世界の人を好きになるなんて絶対にありえない。だって、好きになんてなってしまったら――。
(好きになって、しまったら……?)
「よーし、てめぇら出航だー!!」
「アイ、アイ、サーー!!」
そんな大声にハっと我に返る。グリスノートが船首の方へ向かいながら次々仲間へ指示を送っていく。
いくつもの帆が勢いよく張られると、船が桟橋からゆっくりと離れていく。
いよいよ出航の時が来たみたいだ。
「行ってきまーす!」
リディが町の皆に手を振っているのを見て、私もそちらへ足を向ける。
エスノさんや昨日一緒に準備をした小さな女の子、皆がこちらに手を振ってくれていて。
「ありがとうございましたー!」
心の中で嘘をついてごめんなさいと謝りながら私も大きく手を振った。



