「んなこと、とっくに気付いてるに決まってんだろ」
グリスノートに《楽園》のこと、そしてグレイスのことを伝えに一階に下りると、そう呆れ顔で言われてしまった。
かくんと肩が落ちる。
彼は昼間私たちが食事をしたテーブルに頬杖をつき、ブゥと一緒にまた嬉しそうに羽ばたいているグレイスを目で追いかけながら続けた。
「コロコロドリは昔この辺いたるところにいたって話だ。それだけで場所の特定は難しいんだよ」
「だが他はどうだ。コロコロドリがいて、海が近くて、あと綿毛が舞う場所だ」
セリーンが言うと、グリスノートは彼女を軽く睨み上げ答えた。
「この近辺の海岸は全て調べた。綿毛が飛ぶような植物についてもな。だがそんな場所は見つからねぇ」
「そうか……」
セリーンが溜息をつくと、グリスノートはその視線をラグに移した。
「で、解読は出来たのかよ」
「出来なかった」
「はぁ!?」
バンッとテーブルに手をつき立ち上がったグリスノートにラグは言う。
「読めると思ったんだが、ダメそうだ」
「んだよ、期待させやがって!」
大きく舌打ちをして再びグリスノートはどっかり椅子に腰をおろした。



