「は?」
「だって、誰かに教えてもらわないと普通こんなにちゃんと書けないよ」

 達筆とまでは言わないが、漢字も、平仮名も、カタカナもきちんと書けている。
 私はラグを振り向き言う。

「銀のセイレーンとエルネストさんって、もしかして一緒にいたんじゃないかな。やっぱり戦って封印されたなんて絶対間違いだよ」

 ラグはまたそれか、と言わんばかりの呆れ顔だ。
 私は他のページも開いてみる。――セイレーンの秘境の手がかりも見つけたかったけれど、エルネストさんと銀のセイレーンの関係も気になって仕方なかった。

(これ全部エルネストさんが作った歌なんだ。……私がこの世界に来るきっかけになったあの楽譜も、もしかしたら――)