My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5


「いつも薄笑いを浮かべた腹の立つ野郎だ」
「いつも綺麗な笑顔と声で、優しく話してくれます!」

 ラグの言葉を訂正するように私は大きな声で言う。
 するとグリスノートは再びワルそうな顔を見せ、こちらに身を乗り出した。

「おもしれぇ。俄然興味が湧いてきたぜ。俺も会えるもんなら会ってみてぇ。金のセイレーンに」
「じゃあ……!」

 グリスノートは不敵な笑みで続けた。

「あぁ。俺の持ってるネタ全部教えてやるからよ、そっちも知ってること全部包み隠さず差し出しやがれ」

 私たちは顔を見合わせる。

(全部、は無理だけど……)

 私が異世界から来た「銀のセイレーン」だということさえ黙っていれば――。

「わかった」

 ラグがそう答え、私も頷いた。

「よし、決まりだ」

 グリスノートはパンっと自分の足を叩いて、ベッドの上で胡坐をかいた。

「これは俺が長年セイレーンについて調べて、自分なりの推測も入ってはいるが。――金のセイレーンは銀のセイレーンによって、その存在を消されたんだ」

「!?」

 私は大きく目を見開く。ラグとセリーンも息を呑むのがわかった。

(銀のセイレーンに、エルネストさんが……?)

 また頭がズキリと痛んだ気がした。