「捜してる?」

 グリスノートがオルタードさんと同じように訝しげに眉をひそめた。

「伝説の金のセイレーンをか?」

 ラグが頷く。

「オレは奴のせいで厄介な呪いを受けた。それを解くために奴を捜してる」
「……まるで会ったことがあるような言い方だな」
「会ったことあります! エルネストさんに、何度も!」

 私が割り込むと、グリスノートの視線が私に移った。

「へぇ?」

 鼻で笑われて私は更に強く言う。

「嘘じゃないです! 幽霊のような姿でいつも私たちの前に現れて、助けて欲しいって」
「……助けて?」

 きっと彼にならエルネストさんのことを話しても大丈夫だろう。ラグも止めない。

「エルネストさんはどこかに幽閉されていて、だから助けて欲しいって、私お願いされたんです!」
「……」

 グリスノートから先ほどまでの人を小馬鹿にしたような雰囲気が消えた。
 彼は少しの間考え込むように口元を押さえ、それからもう一度私たちを見上げた。

「あんたら三人とも、金のセイレーンに会ったことがあるのか」
「私は一度だけだがな。金髪に碧眼の若い男だった」

 セリーンが答える。