「やっぱり、知ってるんですね!?」

 思わず大きな声が出てしまう。

「銀のセイレーンの伝説は大抵の奴が知ってるが、金のセイレーンについて知る奴は少ない。よく知ってたな」
「オルタードが知っていたぞ」
「オルタードが?」

 セリーンがさらっと答えるとグリスノートは瞳を大きくした。

「そりゃ初耳だ……」

 あの野郎、と小さく毒づくのが聞こえた。

「まぁ、元々私の父から聞いたようだがな。銀のセイレーンと対をなす存在だと」

 グリスノートは一度短く息を吐き、私たちを睨み上げた。

「……なんであんたらはそんなに金のセイレーンのことが知りたいんだ。納得行く理由がねぇとこれ以上は話せねぇな。こちとら長年かけてかき集めたネタだ」

(理由……)

 どこまで話していいだろうか。私がそう逡巡していると、

「オレたちは、そのエルネストを捜してる」

そう、ラグが先に答えた。