「よぉ」

 その面白がるような笑みを見て焦って起き上がり、ズキリと頭が痛んだ。

「~~っ!?」

 なんでこんなに頭が痛いのか、どうして彼に運ばれていたのか、わからないことだらけでとりあえずゆっくりと顔を上げて辺りを見回す。
 そこはやっぱり今朝まで使っていた部屋だった。

(――そうだ。ここは元々グリスノートの部屋なんだっけ)

 彼はベッドに腰掛け、その肩にはグレイスがちょこんと乗っていた。と、そのグレイスが彼の肩から飛び立ち窓際に置かれた人形の頭にうまく着地した。

 他にはラグもセリーンもリディも誰も見当たらなくて、みんなは? そう聞こうとグリスノートに視線を戻した時だ。

「なんだかよくわからねーが、あんたのお陰で夢が叶いそうだぜ」

(夢……?)

 にやりとその口端が上がるのを見た。

「礼をしねぇとな」
「え……」

 伸びてきた手に軽く顎を持ち上げられて、切れ長の目がこちらに近づいてくる。