異変が起きたのは明け方だった。
ドーンと地響きのような音と共に船がぐらりと揺れ私は飛び起きた。
「じ、地震!?」
しかしすぐにここが海の上だということを思い出す。
なら嵐が来たのだろうか。
慌てて窓の外に視線をやるが夜が明けたばかりの白んだ空と、昨日と変わらない穏やかな海が見えるだけだ。
セリーンが愛剣を手に真剣な顔つきでドアに近づいていくのを見てぎくりとする。慎重にドアを開け外の様子を伺い、彼女は小さな声で言った。
「どうやら海賊が出たらしいな」
「う、嘘!?」
嵐の方がまだ良かったかもしれない……!
耳を澄ませば確かに海音に混じって怒号のようなものが聞こえてきた。
起き掛けに勘弁して欲しい。どきどきと心臓が痛いくらいに早鐘を打つ。



