「また気分が悪くなったか?」
「あ、ううん、違うの。ちょっと考え事してて……ごめん、起こしちゃった?」
「いや、私も考え事をしていた」

 その答えにほっとする。

 ――ちなみにラグとブゥはすぐ隣の船室にいる。
 ブゥは流石に周りが海では外出は叶わず、部屋の中をつまらなそうにふわふわ飛んでいると昼間ラグが言っていた。

「昼間の幽霊船のことか?」
「うん。あとエルネストさんのこと」
「あの男か。……エクロッグで何か手掛かりが掴めるといいがな」

 私は頷く。

「セリーンはどんな考え事?」

 訊くと彼女は優しく微笑んだ。

「昔のことだ。エクロッグへ戻るのは久しぶりだからな」

(あ……)

 ――そうだ。今こうして向かっているエクロッグはセリーンの故郷。今は存在しない国。そこで彼女は家族を失ったと話していた。

「セリーンは昔、どんな子だったの?」

 気が付けばそんな質問をしていた。