――お宝? あの本のことだろうか。
 と、セリーンが私の前でふぅと短く息を吐いた。

「バレたなら仕方ないな」

 そして彼女は先ほど巻いたばかりのバンダナを解いていく。

「借りたものは全て返す。その代わり、」
「さっさとあのモンスターを出しやがれ!!」

 セリーンの声を遮るようにして怒鳴ったグリスノートに、私は思わず「え?」 と声を上げていた。

 あのモンスター……間違いなく今ラグのポケットに隠れているブゥのことだろうけれど。

(なんでブゥ?)

 てっきり拝借した本のことを言われると思っていた私はラグの方にちらりと視線を向ける。彼も警戒心をあらわにグリスノートを睨んでいた。