「やめてってば、兄貴!」
「どうやら、この部屋の主が帰って来たようだな」
バンダナを巻き終えたセリーンが愛剣を手にしていた。
リディアンちゃんのお兄さんが海賊かもしれないという先ほどの話を思い出し私も彼女の後ろに立つ。
「お前はここだ」
「ぶっ」
ドアから離れながらラグがすぐ横を飛んでいたブゥをポケットに隠すのと同時、勢い良くドアが開いた。
「!?」
無遠慮に部屋の中に入って来た人物を見て、思わず大きな声が出そうになる。
(グリスノート!?)
まさかの来訪者に息が詰まる。
仲間を2人引き連れた彼は私たちをぐるりと見回し片眉を大きく上げた。