「もう一度言うわよ。私は女神。ここは私の部屋で天界。そして神様が住んでいる場所。わかった?」

 ちよっと残念な人なのですかね? 綺麗な人ほど怖いって言うよね? ……とりあえず頷くだけにした。

 そして自称女神は語った。
 話を聞くとこういう事だった。

 仕事帰り、帰宅途中の俺は、普通に道を歩るいていると、物凄い突風が吹き、マンションのベランダに置いてあった植木鉢が落ち、運悪くそれが頭に直撃し、即死したらしい……。

 それが本当なら、なんとまぁベタな死に方ですかね。そんなコントみたいな!!

「それでね、神様がそんな死に方じゃ可哀想だからってことで、ここに呼んだわけ。転生させてあげようと」

「……転生? それって死んだ時に異世界とか行けちゃう、あのラノベとかによくある、あの転生?」

「そう、その転生!」

 何故かこの自称女神はドヤ顔で言ってきた。

「まじか――――――っ!!」

 確かにこの訳の分からない状況だと、それらしくも思えてきますね。

 特に、この世に未練が……ないわけでもないけど……死んだのはいいとして、まさか本当にそんな事が? 転生―――っ!?

 この女性は女神……ですか。転生!! 転生という言葉に興奮していると、何やら女神が呟いていた。

(ふぅ、哀れみは口実で、実際はとても暇をしてた神様と私が、下界を観察してた時、あいつが、たまたまあそこを歩いていて、運悪く神様がくしゃみをしてしまい、あろうことか、そのくしゃみで植木鉢が落ち、頭に直撃したなんて……本人には言えるはずがないわ)

 ………
 ………

「「え?」」

「ちょいちょいちょいちょい―――っ!! 『え?』じゃないよ! 心の声がダダ漏れなんですけど?何それ、どういうこと? はあ?意味が分かんないんだけど……」

 途端に目の前が真っ暗になり倒れてしまった。


 ……ふぅ、悪い夢でも見てたんですかね?
 目を覚ますとそこは……さっきの部屋かよっ!!

 そして神犬太郎は顔を舐めてくるので、抱きついて、もふもふを堪能(たんのう)する。

 はぁ……普通そこは、目が覚めたら夢だったとか、異世界だったとかじゃいの?
 ただ気を失っただけですか……。
 何でこんなことになってしまったんだろう。

 そう、このおかしな状況にいる俺は

 峯岸(みねぎし) 蒼翼(あおば) 25歳
 彼女は……いないかな。
 基本面倒くさがりの、億劫(おっくう)な事は極力避けたいと思ってる人。妹夏希をこよなく愛す、よくある社畜なサラリーマン……ではなく、ただサラリーマン。
 趣味はweb小説読んだり、ゲームのMMOやったり、ラノベ好き、もちろん異世界物。で、もふ好き。

「お目覚めかしら?」

「もういいよそれ」