「あっ、はい。おかげ様で。」
書類から 目を離して 私は 俊樹を見る。
あの夜と同じ、優しい笑顔の俊樹。
私は 胸が熱くなって 一瞬 目を逸す。
「これ お願いします。」
笑いを含んだ声で 俊樹は 私に書類を差し出す。
「はい。」
と言って 俊樹から書類を受け取るとき 俊樹は 私の指を握った。
私は 驚いて俊樹を見つめる。
頬が熱くなって スッと俊樹の指を外す。
『何? 何! 何なの⁈ 』
私は 心臓が壊れるかと思うくらい ドキドキしていた。
「手が空いた時でいいから。よろしくね。」
俊樹は そう言うと 私の前から離れていった。