鶴見駅から 少し歩いた 住宅街。

普通の一戸建て。

「ただいま。車 乗っていくよ。」

俊樹は 玄関を開けて 声をかける。


家の中から 出てきた お母さんは

私の母と 同年代で 少し 俊樹に似ていた。


「はじめまして。同じ会社の 望月です。」

玄関先で とりあえず ご挨拶。


一瞬 驚いた顔をして お母さんは 急に笑う。


「なんだよ。」

ぶっきら棒に言う 俊樹。


「別に。ねえ?」

と私に 同意を求められても 困るんですけど。



戸惑って 挙動不審になる私。

お母さんは もっと笑って


「寄っていかない?」

と俊樹に聞く。


「駄目。忙しいの。」

俊樹が 素気なく 答えると


「今度、ゆっくり 寄ってね。」

と お母さんは 私に言った。