待つほどもなく オートロックのチャイムが鳴る。 会社から 近い部屋を 選んだことが 嬉しい反面 恨めしくもあって。 俊樹を思うとき いつも 私の心は 矛盾だらけ。 ワクワク と ハラハラ。 ときめき と 不安。 私は 深呼吸をして もう一度 鏡を見る。 この前と同じように そっとドアを開けて 廊下を覗くと 俊樹が歩いて来た。 私は 廊下に飛び出して 俊樹に駆け寄る。 「ただいま」 俊樹は そう言って 私の頭を撫でた。