両親の言葉に、エヴァは安心したようだ。微笑んだその横顔が月に照らされ、輝いている。シリウスは寂しさを感じながらも胸を高鳴らせていた。

「さて、そろそろエヴァさんも寝なさい。明日は一緒に出かけるのだから」

「はい」

父に言われ、エヴァがドアに向かって歩いてくる。慌ててシリウスは物陰に隠れた。エヴァは足音を立てることなく部屋に戻っていく。

エヴァはきっと、まだ愛というものを完全に理解したわけではない。しかし、愛の形を少し知った。

「僕が、少しずつ教えたかったのに!」

悔しくて、シリウスは呟いてしまう。その様子を見ている人物がいることに、シリウスは気付くことはなかった。

結局、シリウスは一睡もできないまま朝を迎えた。