幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

「何が違うの?」

エヴァではなく、アイヴィーが訊ねた。バージルは「馬に乗って走った状態で弓を放つんだ」と遠くを指差した。馬に乗って弓を放つ人々がいる。

「ええっ!?めちゃくちゃ難しそう……。エヴァ、できるの?」

ケイリーが顔を真っ青にするが、エヴァは「問題ありません」と白い髪をリボンで一つに結び始める。そして、白い華奢な手が紫の花の髪飾りに触れた。

「それ、僕が預かっておくよ。落としたら大変でしょ?」

シリウスが声をかけると、「ありがとうございます」とエヴァは微笑む。そしてシリウスに髪飾りを渡していた。

「お待たせいたしました」

エヴァが男性に声をかけると、「逃げなかったんだな。褒めてやるぜ」と下品に男性は笑う。そして、「俺から先に弓を引いてやるよ」と言い馬に飛び乗り、走り出した。

馬の背中に揺られ、不安定な状態であるというのに男性は落ち着いて弓を放つ。弓は真ん中からはずれてしまったが、命中していた。