「今日は本番だし、しっかり練習しないとね」

「練習するのは構いませんが、無理はしないでくださいね」

朝ご飯を食べ終えた後、二人は屋敷を出て歩き出す。これから劇場へ行くのだ。今日の公演を楽しみにしてくれている人は大勢いる。

シリウスは、夕方から始まる公演に胸を弾ませた。



同時刻。アンネストールの北側にある小さな村の外れには、村人たちのお墓がたくさんある。

一番奥のお墓には、あるからくりが施されている。白い聖職者のようや衣装を着た人物が十字架のある部分に触れると、地面がゆっくりと開き地下へと続く階段が現れる。その人物は階段を下っていった。

階段を何十メートルも下りると、頑丈な鍵のかけられた扉がある。その扉を開けると、また扉があった。そこを開けるとようやく地下に作られた建物の中だ。

「ユダ様！」

「おかえりなさい！」

廊下を歩き、建物の中に入るたびに白いワンピースや軍服のような格好をした十代ほどの子どもに声をかけられる。その人物は言葉を全て無視して目的の部屋に入った。