目を輝かせながら、シリウスは立花(たちばな)かぐやを見つめる。かぐやは頰を一瞬赤く染めた後、「褒めてもダメです!きちんと食べてください!」とハムエッグのお皿をシリウスの前に出す。

「食べてくれないと、もう脚本を書きませんよ?」

「わかった、わかった」

頰を膨らませるかぐやに笑いかけ、シリウスは朝ご飯をようやく食べ始める。かぐやがティーカップに紅茶を入れてシリウスに渡した。

シリウス・プランタンは、二十四歳という若さで世界中の俳優たちから注目されるほどの実力の持ち主だ。多くの舞台の主役を務め、彼の出る舞台は全てチケットが即完売するほどである。自分で立ち上げた劇団は数年で大人気になり、成功者の一人だ。

かぐやは、シリウスの劇団で脚本家をしている十九歳の女性だ。アンネストールから遥か東にある国からやって来た彼女をシリウスが助け、シリウスの家で暮らしている。彼女の書く脚本はとても面白く、あっという間に人気脚本家になった。