幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

二人は懸命に仕立て屋の娘にアプローチをするが、恋はなかなか進展しない。そして家臣たちがお見合いの話を次々に持ちかけてくる。そこで、二人はある決意をするのだ。

「俺は……お前を愛している。しかし、お前を愛しているのは俺だけではない。そこで、二人で今から剣で勝負をする。お前は勝った相手と結婚するんだ」

西の国の王子が仕立て屋の娘にそう言い、剣を抜く。仕立て屋の娘が「戦いなど、おやめください!」と言うが、東の国の王子も「私もこの愛を譲れない!」と剣を抜く。

王子二人は互いに睨み合う。シリウスの胸にも緊張が走っていた。剣術などしたことがない。元軍人であるバージルに剣を教えてもらったのだが、観客を満足させる緊迫したシーンを作れるかどうか心配だった。

「俺はあいつを攫う」

「いいや、私の大切な人だ!」

王子の剣が何度もぶつかり合う。数分間、二人は戦った。そして勝ったのは東の国の王子だ。

「私と、結婚してください」