「えっ!?シリウスさん!!」

かぐやの声を無視し、シリウスは裏路地の奥へ進んでいく。お酒が体に入っていなければ、危険な裏路地になど入ろうとはしなかっただろう。

「何の音だろう……」

シリウスが奥に進んでいくと、月明かりが不意に差し込んだ。そして、月明かりがまるで舞台を照らすスポットライトのように倒れ込む少女を照らし出す。

「大丈夫ですか!?」

少女が倒れていることにシリウスは驚いて慌てて少女に駆け寄る。そして、怪我をして衰弱している少女の美しさに見とれてしまった。

シリウスは少女を優しく抱き上げる。その体は、想像以上に軽いものだった。そしてそのままシリウスは屋敷へと歩き出した。



夜が明け、シリウスはゲストルームのベッドで眠る少女を見つめる。眠らずに少女の横にいたのだが、少女はまだ目を覚さない。

少女を連れて帰った時、かぐやや他の使用人にはとても驚かれた。しかし、かぐやが医者を呼んでくれて少女の手当てをしてもらった。