エヴァは嫌がるような顔を見せず、「わかりました」と言ってシリウスの後をついていく。シリウスは何度も「ありがとう」と言った。

オフィス街は日曜日ということもあって、道を歩いている人は少ない。しかし、人の少なさを狙ってか子どもたちが何人か遊んでいた。

「マイケル!行くぞ〜!!」

「いつでもいいぜ〜!!」

子どもたちはサッカーボールを蹴って遊んでいる。危ないなとシリウスが思った刹那、子どもの蹴ったボールが勢いよくエヴァの方に飛んできた。

「エヴァ!!」

シリウスはエヴァの手を掴み、自分の方へ引き寄せる。ボールはエヴァに当たることなく壁に当たった。

「エヴァ、大丈夫?怪我はしてない?」

シリウスが訊ねるが、エヴァはうつむいて何も答えてくれない。心配していると子どもたちがやって来て謝った。しかし、今のシリウスはそれどころではない。

「エヴァ、体調が悪い?」

未だうつむいているエヴァにシリウスは話しかける。抱き寄せているエヴァの体は温かい。しかし、ピクリとも動かないエヴァはまるで人形のようだった。