「エヴァ、今から少し出かけない?買いたいものがあって……」

読書をしていたエヴァはシリウスに話しかけられ、顔を上げる。シリウスは少し緊張しているような表情だった。それはここ最近ずっとだ。

かぐやが「長くお世話になりました。一人暮らしを始めます」と言い屋敷を出て行ったため、シリウスとエヴァだけになってしまった。エヴァに対して想いを寄せているシリウスにとって、それは緊張の始まりだった。

「わかりました。すぐに支度をします」

エヴァがそう微笑んで言ってくれた時、シリウスは「やった〜!!」と飛び跳ねたいのを堪える。

そして二人は日曜日の通りへと向かったのだ。



シリウスがエヴァを連れて向かったのは、いつも買い物をする通りではなく多くのオフィスが立ち並ぶ通りだった。

「シリウスさん、ここはオフィス街ですが……」

エヴァが不思議そうに言い、シリウスは「買い物の前にここにいる友人に用があってね」と微笑む。