「かぐや、話って?」

アンネストールに帰ってすぐ、かぐやはシリウスを中庭に呼び出した。夜のため、月が輝いている。月明かりに照らされたシリウスの顔は美しく、かぐやの胸が優しく揺れた。

「シリウスさん、私にこの気持ちを告げることを許してください」

かぐやはそう言い、シリウスの目をまっすぐに見つめる。返事はもうわかっている。悲しい終わりになることはわかっている。それでも、伝えたかった。

「あなたのことを、ずっと愛していました」

シリウスの目が大きく見開かれる。本当は過去形で告げたくなどなかった。微笑むかぐやの目から涙がこぼれる。

「返事はわかっています。だから、愛していましたなんです。あなたを想う人がいたことを、忘れないでください。気持ちを聞いていただいて、ありがとうございます」

そう言い、かぐやは部屋に戻ろうとする。すると、「待って!」と呼び止められた。振り向けばシリウスが真面目な顔をしている。