美しく繊細な舞を見せるエヴァを見て、かぐやはなぜシリウスがエヴァに惹かれたのかわかった気がした。

エヴァは、確かに感情があまりないのかもしれない。だからこそ感情を知り、人を知ろうと努力している。美しいだけでシリウスは人を好きにならない。かぐやはエヴァに嫉妬していたことを恥ずかしく思った。

エヴァの舞は、かぐやの汚れてしまった心を浄化してくれた。そして、大切なことに気付かせてくれた。かぐやはエヴァに感謝を覚える。

「かぐやさん?なぜ、泣いておられるのですか?」

そう首を傾げるエヴァに、かぐやは抱きつく。そして、何度も「ありがとう」と言った。

かぐやは過去と決別することと、もう一つあることを決意する。それは、シリウスに対する想いときちんと向き合うことだ。



さくやの婚約パーティーでかぐやとエヴァは二人で舞を披露した。美しい舞に人々は酔いしれ、かぐやたちはさくやよりも目立っていた。

パーティーの後、かぐやはさくやたちに絶縁を告げ、エヴァと共にアンネストールに戻った。もうエヴァに嫉妬することも、冷たくすることもない。もう気持ちに整理はついているからだ。