「第一幕、成功!!明日と明後日の公演も頑張ろう!!」

シリウスがそう言った刹那、「おお〜!!」とケイリーとアイヴィーが声を上げる。そしてお酒の入ったグラスをみんなが手にし、「乾杯!!」と言った。脚本家の立花かぐやもグラスを掲げる。そして、シャンパンを一口飲んだ。

今日は舞台公演の打ち上げをしている。舞台は第一幕から三幕まである長編だ。恋愛や友情を主に描くかぐやにしては珍しく、貴族の屋敷を舞台にしたミステリーとなっている。

「かぐや!今回も素敵な脚本をありがとう。今日は僕の奢りだし、たくさん食べてね」

サラダを食べていたかぐやの耳が赤く染まる。横を見ればシリウスが微笑んでいる。かぐやは胸を高鳴らせながら、「ありがとうございます」と返す。

「シリウス、少しいいか」

シリウスはバージルに話しかけられ、かぐやのそばからいなくなってしまう。二人は店の外へ出て行った。それでもかぐやはシリウスの出て行ったドアを見つめていた。