「ねぇ、僕に言ってよ」
「え?」
お礼の言葉?そういえば言ってない。
「…ありがとう?」
「違う」
拗ねたように、むっとしてしまった。
怒らせちゃった…?
わかんない…わかんないよ…
すると、彼の顔が近づいてくる。
「好きだよ」
私の耳元で囁かれた。
「って、言ってよ」
「聞いてたの?!」
「僕に向けて言ってるのは聞いてない」
「聞いてんじゃん!」
「いやだ、聞きたい」
恥ずかしいんだけど!?
「ちょっと、今は無理!恥ずい」
「駄目」
私を囲む腕が、少し強くなる。
「大丈夫。安心して言ってよ」
逃してもらえない状況に、
「…………す、好きです」
意気地なしの私でも、告白できた。


