「成瀬くんへのお礼っ!」
好きって、言えるわけ無いじゃん。
友達としての良い関係性が壊れちゃうかもだし…
ふられたら…気まずくなるに決まってる。
成瀬くんに嫌われたくない。
好きだと気づいてもらいたいのに、
本人を前にすると伝えるのが怖くなる。
矛盾した感情が、心を支配していく。
「さっき成瀬くんの席に座らせてもらったから?そのお礼、みたいな…。日当たり良さそうだなーって、ね?」
何やってんだろ、私。
「……そっか、お礼ね」
「うん!そう!渡せたし、
そろそろ、帰ろうかなぁ…?」
ドアを塞いでいた、彼の腕が離れる。
「じゃ、またね!」
彼の横を通ろうとすると、
「それで僕が納得できると思った?」
彼の元に引き寄せられた。
目の前には、ニヤリと笑う彼がいた。


