ホワイトデーに本命チョコを!



「成瀬くんへのお礼っ!」


好きって、言えるわけ無いじゃん。

友達としての良い関係性が壊れちゃうかもだし…

ふられたら…気まずくなるに決まってる。

成瀬くんに嫌われたくない。


好きだと気づいてもらいたいのに、
本人を前にすると伝えるのが怖くなる。

矛盾した感情が、心を支配していく。


「さっき成瀬くんの席に座らせてもらったから?そのお礼、みたいな…。日当たり良さそうだなーって、ね?」

何やってんだろ、私。

「……そっか、お礼ね」

「うん!そう!渡せたし、
そろそろ、帰ろうかなぁ…?」


ドアを塞いでいた、彼の腕が離れる。


「じゃ、またね!」

彼の横を通ろうとすると、



「それで僕が納得できると思った?」



彼の元に引き寄せられた。



目の前には、ニヤリと笑う彼がいた。