◇企◆スタートライン


「明希に、話しとこうと思ったんだ。琉唯の事」

「聞きたくない。」

「明希!」

「聞きたくないの!」

両手で耳を塞いでしまった明希は
耳をふさいだまま泣いてしまった

「おいっ」

「明希はね。まだ、情緒不安定なのよ。
特に琉唯くんのことは」

「・・・っ」

「分かったでしょう?
あんたが明希の心をこんなにもしてしまったの」

「あぁ」

「明希。オヤツ何食べたい?」

「オヤツ?」

「そ。オヤツ。何か食べなくちゃ。
明希が倒れたら、悲しむ人がいるんだよ」

「ホットケーキ」

「分かった。作ってくるから、ここにいて」

「うん」

キッチンに立ったあたしに
ついてきた陽樹

「いつも、あぁなのか?」

「うん。夜もうなされてる時がある。
それくらい、琉唯君に本気だったんだよ」

”だった”そうしてあげないと
目が覚めたといっても、琉唯君が来れるわけじゃないから
明希も前に進めなくなっちゃうから

「いやぁぁぁぁ」

「!?」

「明希!」

「陽菜。助けてっ
琉唯が、琉唯が!」