◇企◆スタートライン


中庭に来て

「あんたは、あの時なんで明希にあんなことしたの?」

「明希に頼まれたんだ」

明希に頼まれた?
でも、明希はあの後

「あぁ。琉唯があんな風になるなんて思わなかった。
明希にも謝られた。けど、琉唯は記憶を遮るように
寝たままあの状況になったわけだ。」

そうだったの?

「それと、まさかその後に明希もあんな状態になるとは
俺も思わなかった。それに、お前が一緒に居るとは思わなかった。」

そりゃ、そうでしょうね。
あの学校を明希にすすめたのは、あたしだもの

「なんで、あの学校にしたかわかる?」

「理由?」

「そう」

”俺のせいだろ”そう、自嘲気味に言う陽樹は寂しそうで

「それもある。だけどね?
もし、他の公立高校に行ったらどうなると思う?
明希は、いじめのターゲットに合うかもしれない。
琉唯もあんたもモテてたし。
そんな琉唯をそんな状況に追い込んだ彼女。
それだけの条件が合えば、必ず明希はいじめられる。
だから、誰も選ばなかった、この学校を選んだ」

「マジかよ」

「本当。しかも、琉唯を好きだった女は、みんなあんたの行ってた学校に行ってるじゃない」

「あぁ。あいつらか」

そのあいつらよ?

「あたしは、どんなことでも明希を守りたかったのよ。
琉唯君が目覚めても、目覚めなくても、明希が
幸せになってくれればいいの。」

「そうか。俺もお前には謝らなきゃな」

「は?あたしに?」