写真を撮り終えた洋一が言い、透たちは歩き出す。その間にも視線は痛々しいほど突き刺さってきた。

「なんか、見られてる?」

美咲が不気味そうに首を傾げ、玲奈が「そうみたいね。ほらあそこ」と透たちを監視するように見つめる人々を指差した。透は慌てて止める。

「馬鹿!殴られたりしたらどうするんだよ!」

「それは殴った側が犯罪者として逮捕されるだけよ。私は悪くない」

恐れることもなく淡々と言う玲奈に、透は羨ましさを感じた。

港から数十分歩くと、島民の住む家よりずっと離れた場所に大きめの家がポツンとあることに気付いた。廃墟を外から来る人間のために残してあるらしい。

「なかなかよさそうな家ね」

玲奈はお世辞にも綺麗と言えない家を見つめて言う。

「ただのボロ屋だぞ?」

透が言うと、「野宿や馬小屋に寝るよりはマシでしょ」と玲奈は言って家の中へ入っていく。

「玲奈は海外に旅をした時にひどい目にあったことがあるからね」