「透くん、ありがとう。玲奈のそばにいてくれて……」

「えっ?」

美咲はとても優しい目をして微笑んでいた。透は資料を置き、「どういうことですか?」と訊ねる。美咲は研究を熱心に続ける玲奈を見つめ、言う。

「玲奈はあんな風に無表情で誤魔化してるけど、本当は宗一くんのことをずっと引きずっているんだ。玲奈の気持ちに寄り添ってくれてありがとう。玲奈もすごく感謝してた」

「えっ!?あの宍戸が!?」

透が驚くと、「何か言った?」と玲奈がギロリと睨み付けてくる。透は「な、何でもねえよ!」と言い誤魔化すようにスマホを取り出した。

「ん?ラインが来ている……」

ラインを送ってきたのは、倉木洋一(くらきよういち)だった。彼は透の友人で感染症研究センターで働いている。

「えっ!?マジか!!」

「ん?どうしたの?」

ラインを見て大きな声を出す透に、美咲が声をかける。透は目を輝かせながら美咲を見つめた。