私は今日も裸足で教室に入る

1番後ろの窓側が私の席

私は自分の机の前で立ちすくむ

私の机には綺麗な菊の花が置かれていた

そして暴言の数々が黒いペンで書かれている

「美咲さんおはよ。お花飾っといたわよ?」

笑顔でこちらに近づいてくるのはクラスでリーダー的存在の桜田さんだった

一部の子はくすくす笑い

面白がって写真を撮る者もいた

先生はもちろん

助けてくれる人なんて誰もいなかった

これを世間では「いじめ」というのだろう

私は事務室へスリッパを借りに行くために教室を出た

「泣いちゃ…だめだ」

きっかけは些細なことだった

高校2年生の春

風紀委員であった私は

桜田さんの服装の違反を注意した

別に強く言った訳でもない

なのに私はその注意した一言で

「普通の学園生活」を奪われたのだ

初めは消しカスを投げられたり

足を引っ掛けられたりするだけだった

しかし…

それは徐々にエスカレートしていったのだ

クラスメイトはその子を怖がり

声をかけてくれる人もいない

もしも私が可愛かったら…

誰か助けてくれたのだろうか…

私は自分で言うのもあれだがブスだ

顔にはそばかすがあり、目は腫れぼったく

オマケに太っている

でもだからっていじめて良い訳では無い

こんな弱い自分が惨めで大嫌いだった

本当は学校に行きたくなかったが

家族にも心配をかけると思うと休む訳にはいかない

それに今日は週に一度の委員会の集まりがある

本来風紀委員は男女2人いるのだが


いつも通り今日も1人で委員会に向かった