キミとあの夏

ピッ

「はぁはぁ」

水から顔を出し、息を整える。

「美桜」

プールサイドで名前を呼ばれ、顔を上げると
璃久は私の前にしゃがんで、
ストップウォッチを見せてくれた。

「16.7秒!」

「あぁ。18.6秒から約2秒速くなったぞ」

「やった〜」

「よかったな」と言って頭を撫でてくれる
璃久は少年みたいな笑顔だった。


「早く上がれよ」

頷くと璃久は立ち上がって手を差し伸べて
くれた。

その手をつかんでプールから上がろうとすると、

クラッ

急に目眩がして私は璃久の手を離していた。

体が自由に動かない、重い...