「春綺、今朝天樹先輩と一緒だったでしょ」
席につくなり、僕の友達、桐島 永緒(きりしま なお)が声をかけてきた。
「うん」
「格好良いよねー、天樹先輩。性格はともかく」
「性格…?」
「サド」
たったの一言に、僕はゾッとする。
僕は性的倒錯者に目をつけられてしまったのだ。
澪先輩、サディストだってよ。終わったよぉ(泣)。
きっと靴舐めさせられるんだ。
そして、その靴で踏みつけられるんだ。
「でも悪い人じゃないよぉ?」
呑気な友達の言葉。
気休めだよ。
性的倒錯者に、良いも悪いもあるもんか。
「僕がバイトに行けなくて困ってたときに、代わりにやってくれたし」
「ちょっと待て」
僕は永緒の手首をつかんでいた。
「永緒、お前のバイトって、確か……」
「ホストだよぉ」
ああ……、やっぱ、ヤバい人だ。
いや、永緒も大概だ。
何故サディストにバイト頼む!?
いやいや、その前に、何故女子にホスト頼むんだ!?
「天樹先輩って、小さくて可愛くて、虐めがいがある人が好きらしいよぉ」
はい、もう確定だ。
僕は完全にロックオンされました。