それも嫌だったけれど、そこまで考える余裕もなく、とにかく伊織くんに逢いたい。
最後に、もう一度だけでいいから逢いたい。
ひたすらそれだけを願いながら意識が遠のいていったことを朧げに覚えている。
───光ちゃんと伊織くん。
比べることができないくらい大切な二人。
そもそも二人には抱いている感情は全く違う。
……それでも。
“死”というものを悟った時、真っ先に伊織くんのことが思い浮かんだということは、わたしの中で一番大切な人は、いつの間にか光ちゃんではなく、伊織くんになっていたということ。
「……わたしね、みんなと会えて嬉しい。でも……それ以上に光ちゃんが大切。わたしに生きる希望を与えてくれて、そばにいてくれて…。光ちゃんには言葉で表せないくらいたくさんよくしてもらったっ…。それなのに、このまま死ぬなんて、これ以上光ちゃんを苦しめるなんて、できない……っ」
先ほど止まったはずの涙が再び頬をつたう。



