「……本当は、私が話すことじゃないのかもしれないけど。でも……ゆりちゃんは今こんな状態でいつ目を覚ますか分からないなら、私から伊織くんに話すしかないと思って」
「……」
俺は、光さんの言葉になかなか返事を返せなかった。
ゆりの手を握ったままそっと目を閉じて思い出す。
ゆりを苦しめるものがなんなのか分からなくて、自らも苦しい想いをしたあの日々。
きっと、話を聞いてもなお、俺にはゆりの気持ちを百パーセント分かってあげることは出来ないのだろう。
それはゆりと過ごす中でなんとなく感じ取った。
それでも、ゆりの背負っている重荷を俺にも分けて、一人で苦しまないでほしいと強く感じた。
ゆりが…、愛する人が、一人で苦しんでいるのを見ているだけなのは…、もう嫌だ。



