学校での出来事はすでに清田先生から報告をいただいているということだったので、ゆりちゃんの記憶の件について、順を追って細かく説明した。




「……ふむ、なるほど。確かに、それではしばらく学校に来るのは避けた方が良さそうだね」


私が一通り話し終わった後しばらくして、眉間にシワを寄せながら難しそうに頷く理事長。


「…はい。きっと学校に来ればゆりちゃんは注目の的になってしまうだろうし、記憶を刺激してしまうと思うんです」


ただでさえ不安定のゆりちゃん。


どの道思い出してしまう可能性が高いのなら、少しでもゆりちゃんにかかる負担を減らしたい。




「…そうだろうね。この前のあの出来事は今校内でちょっとした噂になっている。ただ、一年の月島くんと初根くんのおかげで無闇やたらにあの出来事に関して口を開くものはいない」