光さんから聞いた話を踏まえても、ゆりは光さん以外に心を開いていない。
そんなゆりが、俺は嫌いじゃないと言ってくれた。
“嫌いじゃない”
普通だったらマイナスとまで捉えきれないけど、プラスとも捉えきれないこの言葉。
それでも、例外の光さんを除けば嫌いが普通なゆりにとって、嫌いじゃないと言った俺のことを、少なからず特別に想ってくれていたのかもしれない。
そう思うと、思い当たる節がいくつも浮かび上がってくる。
無表情が減ったこと。
悲しそうな苦しそうな表情が増えたこと。
抱きしめるのを一度も抵抗されなかったこと。
俺の前で泣いてくれたこと。
無表情が減って、悲しそうな苦しそうな表情が増えたのは、俺がそばにいることで前よりももっと苦しんでいるんじゃないか、と思っていた。



