もう一度だけ、キミに逢いたい。


だけど、光さんはそれ以上何も言わなかったんだ。


というか、彼女の家族のことになるべく触れないように気をつけていたようにも感じた。




そう、例えば、どうして亡くなったのか、とか……


聞けば、彼女は俺と同い年。


だとすると、去年は十一歳だったはず。


それなのに、すでに家族全員が亡くなっていた……


とてもじゃないけど普通じゃない。




彼女が人間恐怖症なことや、幸せという言葉が禁句なこと。


もしかしたら、“彼女の家族”に“何か”あるのではないか……


俺は直感的にそう思った。


でも、そんなことを直接的に聞けるわけもなくて、グッと言葉を飲み込んだ。


そこには、彼女だけじゃない、目の前の光さんにも“何か”あるような気がしたから…




「……あ、それから、もう一つ。ゆりちゃんに早く逢える場所があるの」