……そろそろ帰んないとだよな。
何も手がかりがないのに、いつまでもここにいる理由はない。
はぁぁ……
一つため息をついて、家に向かって道を歩き出した時だった。
「………あれ、もしかして伊織くん?」
…!
この声、まさか……
声を聞いて誰のものかすぐにピンときたけど、にわかには信じられなくて、まるで氷のようにカチコチに固まってしまう。
だけど、数秒遅れてゆっくり振り返った先にいたのは、やっぱり俺の思った通りの人物だった……
そう、俺がこの約一年、最も逢いたいと思っていた人の姉、光さん……
彼女もまたあの時以降一度も会えていなかった。
「………光、さん」
「あ、やっぱり伊織くんだ。よかった〜、人違いだったらどうしようかと思った〜」
安心したような笑顔で光さんはこちらに近寄ってくる。



