彼女の顔が頭に焼き付けて忘れられないのは出逢いが印象深すぎたからでもなんでもなく、ただ単純に彼女に『恋』に落ちていたからだ、と……
最初は自分でもたった一度しか会っていない相手に、しかも、ほとんど会話らしい会話もしていない相手に、という戸惑いもあった。
それでもはっきりとこれが『恋』だと言えるのは、彼女のことを好きかと言われた時、『好きだ』という言葉がすんなりと出てきたから。
友達の拓海と創も彼女のことを話したらびっくりはしていたものの、
“恋に時間なんて関係ねぇよ、一目惚れって言う言葉もあるしな”
“俺たちは伊織を応援するよ”
と、それぞれ俺の背中を押してくれた。
……恋に時間なんて関係ない、か。
今思えば、拓海のやつ、妙に大人っぽいこと言ってたよな…



