ただ、紛れもなく俺が原因で少女のことを泣かせてしまったという想いは心の隅に残ったままなんだけどな…


でも、今の俺では何もしてあげられることはない、ということも分かっていたからこそ、とても歯痒い気持ちなんだ…




この時の俺はまだ知らない。


少女に対して初めて感じる感情の数々が、同じように他の人にはない想いを抱く光さんとはまた違うものであることを……




「ふふっ…少しでもお役に立てたのならよかった…。じゃあ、またね」


光さんはその言葉を最後に、今度こそ少女を連れて帰っていった。


俺は、二人の姿が見えなくなるまでその背中をじっと見ていた。




……“またね”。


この辺りに住んでいるとはいえ、また会えるなんて保証はどこにもない。


二人の名前しか知らないのだから。




それでも俺は、その言葉にまた絶対に会える、どこかでそんな確信を持っていた……───