今さらもう遅いのかもしれない……っ。
それでも…それでもわたしは、伊織くんのそばを離れられないよっ……
伊織くんを失うなんて考えられないよっ……
これは、光ちゃんのためなんかじゃない、わたしのため。
わたしの人生には光ちゃんがいればそれでいい。
光ちゃんと出逢って心を許して以来、そう思っていたわたしが、初めて自分から求めた誰かの温もりと心。
……それが伊織くんなんだ。
「わたしはただ……伊織くんのそばにいたい。伊織くんが………好き、だから」
「……っ…それが…ゆりちゃんの出した答えだね?」
「……うん」
わたしは光ちゃんの目を見ながら静かに頷く。
すると。
光ちゃんの目から一粒、キラリと光る滴が。



