ねぇ、伊織くん……
わたしといつどこで会ったの……?
もしかして、伊織くんの顔を一瞬だけ懐かしく思ったのも、何か忘れていると思ったのも、前に会ったことがあるから……?
「私個人としても、ゆりちゃんには彼と会った時のことを思い出してほしいって思う。でもそれより……ゆりちゃんはこれからどうしたいの?それが大切でしょ?」
……その言葉。
わたしがいつか伊織くんに言ったのと同じ言葉をそっくりそのまま返された。
……そう、だよね。
分かってるっ…分かってるよ。
わたしはちゃんと伊織くんと向き合ってない。
直接嫌いって言われるのが怖くて逃げてるんだ。
もしも伊織くんに嫌いって言われたら、わたしは壊れてしまう気がする。
でもっ……それでもっ。
それを覚悟で本音をぶつけなければ、本当に大切なものは手に入らない。



