もう一度だけ、キミに逢いたい。


でも、光ちゃんが伊織くんのことを知っていることから考えて、出逢ったのは5年前から今までの間に絞られる。




……5年前、か。


パッと思いつくのは“あの日”出逢った名前も顔も分からない“キミ”。


逆にそれくらいしか思いつかない。


だってほとんど家に篭りっぱなしだったし、会うのは光ちゃんくらい。


光ちゃんがわたしにとっての世界の全てのようなものだったもん。


わたしと光ちゃんとそれ以外の人、みたいな。


今でも多分そうだと思う。




いや、でも……今はいつの間にかそこに伊織くんも加わってるな…


とにかく思い出せない。


このままだと、必然的に伊織くんと“キミ”が同一人物になる。




……いやいやいや、いくらなんでもそんな都合のいいことあるわけ…


それに、わたしの視野は狭すぎる。